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ペロブスカイト太陽電池向けバリアフィルム技術

KONICA MINOLTA Technol. Rep. 2026, 23, 5

ペロブスカイト太陽電池向けバリアフィルム技術 Barrier Film Technology for Perovskite Solar Cells

  • 中島 裕介* Yusuke NAKAJIMA
  • 八木 晃* Hikaru YAGI
  • 田地 和喜* Kazuki TAJI
  • 尾﨑 浩司* Kouji OZAKI

*技術開発本部 デバイス技術開発センター

1 概要

 ペロブスカイト太陽電池は、日本発祥の次世代太陽電池として世界中で注目され、国内外の企業が実用化に向けた研究開発を加速している。シリコン太陽電池同等以上の効率に加え、軽量・柔軟という特長から、①耐荷重性のない工場屋根 ②建材一体型、③車載(モビリティ)など、多様な用途の展開や活用が期待されている。加えて、低照度環境での発電量が、シリコン太陽電池と比べ2倍とも言われており、④室内IoT ⑤冬季日照不足地域での活用も見込まれる。
 一方で、水分浸入による劣化が大きな障壁となり、製品寿命確保が市場形成の課題となっている。特にフィルム型ペロブスカイト太陽電池の普及には、水分浸入抑制による長寿命化が不可欠であり、コニカミノルタは、有機EL照明事業で培った独自成膜技術を応用し、薄膜で高耐水性を実現するバリアフィルムにより、市場形成と脱炭素社会への貢献を目指している。

2 詳細

■構成

 一般的なバリアフィルムは、基材表面の凹凸や微細な穴を埋める「平坦化層」と、水分や酸素の浸入を防ぐ「バリア層」を交互に積層することで、高い耐水性を実現している。しかし、高いバリア性能を得るためには層数を多くする必要があり、製造工程の複雑化やコスト面で課題となる。
 一方、コニカミノルタのバリアフィルム技術は、従来の平坦化層とバリア層の役割を一体化した「平坦化+バリア層」と「バリア層」の2種類を、独自の成膜技術を駆使し、組み合わせることを可能とした。これにより、少ない層数で高いバリア性能を実現させ、薄膜でも高い耐水性と耐久性を両立している(Fig.1)。

写真

Fig. 1 Conventional Barrier Film vs. Konica Minolta’s Barrier Film

■機能/特長/用途

 「平坦化+バリア層」✕「バリア層」の独自プラットフォーム技術を太陽電池用に最適化を進め、耐久性課題を解消し、製造工程効率化とコスト低減を実現し、軽量・柔軟性が求められるペロブスカイト太陽電池において、課題である長寿命化と量産性の両立を可能とする。過去の有機EL照明用途の技術レポート1)では、60℃・90%RH(高温高湿環境)で2,000時間保存試験を実施し、デバイスの劣化防止を実証した。この結果は、バリアフィルムが長期間にわたり水分や酸素の浸入を抑制できることを示している。コニカミノルタは、長年のフィルム事業で培ったノウハウと設備、さらに有機EL照明用途で確立した独自成膜技術を活用し、安定供給体制を構築し、ペロブスカイト太陽電池への応用においても、屋外や高温多湿環境での長寿命化に大きく貢献できると確信している。

■今後の展望

 ペロブスカイト太陽電池市場は、世界的な再生エネルギーへの移行により急速な成長が見込まれており、2035年にはバリアフィルムの市場規模が500~800億円に達すると試算している。コニカミノルタは、これまで培った技術・設備を有効活用し、2026年に量産サンプル提供を開始する。市場拡大に合わせて需要に応じた生産体制を構築し、価値ある高機能部材を提供し、シェアトップを目指す。今後もペロブスカイト太陽電池の普及と脱炭素社会への貢献に向け、技術開発と事業展開をさらに加速し、持続可能な社会の実現に貢献していく。

●参考文献

1) Mori, T.; Gotou, Y.; Takemura, C.; Hirabayashi, K. Development of a Barrier Film for Flexible OLED Lighting. KONICA MINOLTA Technol. Rep. 2014, Vol.11, 83-87.

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