1 概要
COP26(第26回気候変動枠組条約締約国会議)で「2030年までにメタン排出量を2020年比で30%に削減すること」が合意されて以降、国連環境計画(UNEP)が主導しメタンガス排出報告および管理のフレームワーク「OGMP2.0」が発足、世界の主要石油・ガス企業150社以上が参画している。こうした取組みの中で、メタンガスの漏えい箇所を可視化するために、近年OGI(Optical Gas Imaging)カメラの利用が進んでいる。
従来、OGIカメラで漏えい箇所を特定し、ハイフローサンプラーで漏えい量を測定していた。ハイフローサンプラーは10㎏台の装置で使用者が背負って現場を巡回し、さらにガスを吸引する必要があるため、高所では測定できないという課題があった。コニカミノルタは赤外画像から漏えい量を定量化する「流量推定機能」を開発し、ハンディ型ガス漏えい検査システムカメラ「GMP02」(Fig. 1左)に搭載することで、これらの課題を解決してきた1)。
Fig. 1 Gas Camera System GMP02 & GMP03.
次世代モデル『GMP03』(Fig. 1右)は、顧客の業務をさらに改善するため、従来モデル「GMP02」で流量推定機能を使用する際に必要であったPCやタブレットなどの外部デバイスを不要にし、カメラ単体で使用可能にした。さらに、ガス可視化の画質改善、流量推定機能の強化、Bluetooth対応を含む操作性を高めたOGIカメラとして進化させた2)。
2 詳細
■構成
『GMP03』はガス可視化のための画像センサーとして冷却型赤外線センサーを用いたカメラである。弊社独自の画像処理技術により、ガスの視認性を高めるガス強調画像を始めとする複数種類の画像モードを備え、それらの同時録画が可能である。漏えい量の定量化にはカメラからガスまでの距離データが必要となるが、Bluetooth連携により距離計から自動取得が可能となった。また、堅牢性を向上しつつ、冷却型OGIカメラとして世界最軽量(2025年10月1日時点)を達成し、操作性も向上させた。
Fig. 2 Image Quality Improvement.
■機能/特長/用途
ガスの可視化については、感度調整等によりセンサーノイズを低減し、高感度画像の画質改善を図った。Fig. 2左図(従来機GMP02)から、Fig. 2右図(GMP03)のように、薄いガスの視認性が向上した。また、ガス量の流量推定機能も、新しく代表値と信頼度出力を行う形で強化した(Fig. 3)。従来機「GMP02」では、5秒ごとの定量化した推定値のみを出力し、検査者は複数回出力される数値から1つの流量値を決定するわずらわしさがあった。また、感度が悪いと小さめに間違えたり、ノイズが多いと大き目に間違えたりすることがあるため、『GMP03』では撮影シーンや気象条件を分析し、単なる平均値ではない精度の期待できる代表値を出力する機能を追加した。また、撮影シーンや気象条件を分析した結果から信頼度を3段階で表示することで、検査者が結果のレベル感を客観的に把握でき、例えば感度の良いカメラ位置を探して再撮影するといった現場での判断が容易になった。
Fig. 3 Representative Value and Reliability of Quantification.
流量推定機能の利用にあたり、従来モデルの『GMP02』ではPCやタブレットなどの外部デバイスが必要だった。しかし、『GMP03』は、ユーザーインターフェイスを改善し、カメラ単体で操作可能にした(Fig. 4)。ガス漏えい検査やガス量の定量化は、検査者1人で実施することも多く、持ち運ぶデバイスを削減することで、顧客の利便性を向上させることが出来た。
Fig. 4 A single camera completes the entire process from leak inspection to quantification.
グリップ部は回転可能で、撮影シーンに応じて角度を調整することが出来る。録画の開始・停止、複数の画像モードを切り替えるためのボタンを備え、片手でグリップを握ったままカメラを操作しながら撮影することが出来る(Fig. 5)。
Fig. 5 The repositionable grip in the hand-held area improves operability.
■今後の展望
ガスの流量推定機能は、従来比較的規模の小さな意図しない漏えいを対象にしていたが、今後はベントやブローダウンのような規模の大きなガス放出についても、精度よく推定できるよう、適応範囲の拡大を目指す。定量化技術のさらなる向上と他技術との連携を進め、石油・ガス産業全体の漏えい排出量を測定できる技術へ進化させ、用途拡大を継続的に推進する。