デジタルX線撮影の精密セグメンテーション技術

AIによる撮影サポートで再撮影の発生頻度を低減

X線撮影業務の効率化と患者の負担軽減を支援

膝、足などの関節側面のX線画像診断には、正確に真横から撮影し関節位置ずれのない画像が必要とされます。一方、そのX線撮影は難しく、ポジショニングにおいて関節位置ずれは生じやすいため、撮影結果が診断に適している画像かどうかの判断に迷いが生じることもあります。そこでコニカミノルタは、精密セグメンテーション技術を用いて撮影後即座に、関節位置ずれ量を測り、その許容度をABC判定で表示するとともに、再撮影検討が必要とされる基準値を超えたC判定ではアラートを表示するという、ポジショニング判定機能を開発しました。また、撮影部位の左右間違いは、単純でありながら医療安全面のリスクとなります。これを防ぐため、被写体推定技術を用いて撮影後即座に、関節の左右を推定し、医師の指示と異なる向きだと推定した際にはアラートを表示するという、左右判定機能を開発しました。
これらの機能により、撮影者は撮影直後に客観的な情報を用いて再撮影の要否を即座に判断できるため、不必要な再撮影、再撮影のための患者の呼び戻しを回避することができ、撮影業務の効率化とともに検査時間の短縮が図れ、患者の負担軽減と被ばく線量低減に寄与します。

技術概要

ポジショニング判定機能では、撮影された画像に対して関節のずれ領域とずれ量を同定します。撮影された画像から、(1)深層学習(Deep Learning)を用いて、判定対象となる関節が写っている局所領域を特定し、(2)その局所領域内から、Deep Learningを用いて関節ずれ領域を特定するセグメンテーション処理を行います。その上で、(3)セグメンテーション処理結果領域に対して、関節中心方向からその幅を計測し、最も幅が広い部分を関節位置ずれ量として決定します。
左右判定機能では、まず，撮影された画像に対して(1)画像サイズ変更，階調・濃度調整の前処理を行った後，(2)Deep Learningを用いて、写っている関節が左部位である確率と右部位である確率とをそれぞれ推定します。その上で、(3)確率が高い方を、推定した左右部位として決定します。
なお、これらの機能は撮影直後に表示される必要があることから、高速処理するよう工夫されています。