お問い合わせはこちら

協業や技術に関して
お話しましょう

contact-icon
contact-icon

FORXAI技術との融合による感光体塗布の革新とガス監視技術の用途拡大

KONICA MINOLTA Technol. Rep. 2026, 23, 9

FORXAI技術との融合による感光体塗布の革新とガス監視技術の用途拡大 Innovation in Photoconductor Coating and Expansion of Gas Monitoring Applications through Integration with FORXAI Technology

  • 髙尾 弘毅* Hiroki TAKAO
  • 平原 義朗** Yoshiaki HIRAHARA
  • 平岡 潔** Kiyoshi HIRAOKA

*化成品事業部 材料要素技術開発センター
**FORXAI事業統括部 画像IoTソリューション事業部

1 概要

 感光体の長寿命化は、交換部品や保守費用の削減によるコスト低減だけではなく、廃棄部品の削減を通じて環境負荷の低減にも寄与するため、SDGsの達成において重要な技術課題である。感光層の厚膜化と樹脂の分子量増加は長寿命化に効果的である一方、生産時の塗布速度と塗布の均一性を両立させることが困難であり、特に塗布時に発生する揮発性溶媒ガスの挙動への理解不足が技術的な課題となっていた。
 そこで、コニカミノルタのガス監視ソリューション技術を活用し、塗布時に発生する揮発性溶媒ガスの可視化に初めて成功した。この知見を基に塗布設備や条件を見直すことで、生産速度を従来の1.5倍に向上させつつ、塗膜の均一性も大幅に改善し、感光体寿命を1.2倍に延ばすことができた。これにより、高品質な感光体の市場提供が可能となっただけではなく、ガス監視技術の新たな事業展開の可能性も拓かれた。

2 詳細

■構成

 感光体は主に複合機やプリンターなどの電子写真方式で不可欠な機能部材である。多層構造で設計されており、電気的特性、機械的強度、電子写真プロセスとの適合性など、様々な機能性を備えた電子デバイスである。動作環境は放電、クリーニングなど非常に過酷であり、使用に伴う摩耗や劣化が著しい。(Fig. 1, 2)

写真

Fig. 1 電子写真プロセスの概略

写真

Fig. 2 電子写真感光体の構成

 そこで、樹脂の高分子量化によって強度の向上と厚膜化を図り、長寿命化を目指した。しかし、塗布後の自然乾燥時における周辺の溶媒ガスの環境が塗膜の均一性に大きく影響を与えることは経験的に認識されていたが、ガスの発生量や挙動については十分に理解されておらず、特に高分子量樹脂材料を用いた厚膜塗布は非常に難しい課題であった。(Fig. 3)

写真

Fig. 3 感光体の塗布方法と膜厚ムラの影響

 従来のガスセンサーでは、局所的な平均濃度しか測定できず、応答にも遅延があるため、実際の挙動をリアルタイムで把握することは困難である。シミュレーションを行っても、その妥当性を確認する手段がないという問題もある。この課題に対して、コニカミノルタのガス監視ソリューション技術を活用し、解決を図った。

■機能/特長/用途

1.FORXAIガス監視ソリューション事業と技術紹介 
 冷却式赤外線カメラと特殊なバンドパスフィルターを用いることで、目には見えない炭化水素系ガスの可視化が可能となる。さらに、取得した画像を解析して流量を推定する機能を備え、ガス漏洩監視や点検、製造現場の環境安全および設備保全などに貢献する本技術を、塗布時の溶媒ガスの把握に応用した。(Fig. 4, 5)

写真

Fig. 4 ハンディ型ガス漏えい検査システム GMP02

Fig. 5 ガソリンの揮発の様子(左:目視画像、右:ガス可視化画像)

2.ガス可視化技術の応用による塗布時のガス挙動の可視化とその改善結果
 下の動画は実際の感光体塗布時の様子を示したものである。(Fig. 6,7)

 塗布開始時は溶媒ガスの発生量や流動が少ないが、時間経過とともに増加し、戻りガスによる再暴露で塗膜の均一性低下を引き起こすことが明らかになった。この課題に対し、ガス雰囲気の安定化を目的とした整流機構などを備えた装置の再設計を行い、高分子量樹脂材料においても生産速度を従来比1.5倍に向上させるとともに、塗膜の均一性を大幅に改善した。

写真





Fig. 6 実際の塗布時の様子_ガス可視化画像

写真

Fig. 7 塗膜の均一性の改善効果

■今後の展望

感光体
 生産速度を従来の1.5倍に引き上げるとともに、塗膜の均一性も大幅に向上させ、感光体の寿命を1.2倍に延ばすことに成功した。
 この感光体は2026年より市場へ投入する予定である。

ガス監視技術の用途拡大
 社内連携を通じて、生産プロセスのノウハウをリアルタイムかつ定量的に可視化し、生産性の向上や品質の安定化に貢献できることを確認した。今後も”見えないものを見える化する技術”でお客様の「みたい」を実現し、社会に貢献する事業を推進していく。

\技術提携・共同研究に関するご相談を、
専門チームが対応します/