X線タルボ・ロー干渉計による非破壊検査技術
樹脂内部の繊維状態を可視化
自動車の樹脂化による持続可能な社会実現への貢献を目指して
炭素繊維強化プラスチック(CFRP)は軽量なプラスチックで金属同等の強度を実現できるため、航空機や自動車の軽量化を実現する革新素材として期待され、航空機などで一部実用化もはじまっています。今後、さらに広い用途に応用するには、性能や生産性をさらに向上させる必要がありますが、性能の鍵となる樹脂内部の炭素繊維の分布や向きを非破壊・大面積で検査できる技術が存在しないという課題があります。現在我々が開発している非破壊検査委技術によってこの課題を解決し、内部の繊維の状態を可視化し性能との相関を明らかにすることでCFRPの性能や開発効率、生産効率に革新をもたらし、今後の低炭素社会実現に向けて貢献していきます。
技術概要
X線タルボ・ロー干渉計は、1回の撮影でX線の吸収、散乱、屈折を画像化した3つの異なる画像を取得できる新しいX線検査技術です。さらに試料を回転させて複数回撮影することで散乱の強度や向きもわかるため、CFRP内部の繊維の分布や向き、あるいはボイドの有無を比較的広い視野で可視化できます。得られた結果を、疲労試験結果などと比較することで、破壊要因を解明し、より良い材料や構造、製造方法の開発につなげることができます。また樹脂流動シミュレーションの精度検証、機械学習による破断強度や位置の予測、あるいは引張試験のIn-Situ撮影より破壊の進展を可視化する、などCFRPの材料、設計、製造、品質保証、様々な場面での貢献を目指しています。さらには他の繊維強化樹脂や他の材料への展開も検討中です。