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概要
コニカミノルタでは、モノを作る前段階でシミュレーション等の仮想評価を行い機能、品質を作り込むプロセスを目指している。複合機などの製品は、これらの評価技術を製品開発の中で活用しており、産業用インクジェットプリンターでも、同様なシミュレーション技術の獲得と実績の積み重ねを行ってきている。
ゾル-ゲル相転移UVインクを用いたインクジェットプリンター(Fig. 1)は、インクや印刷メディアの温度、インク吐出を適切に制御して高画質を実現している。特にメディアの温度は、搬送部の温度制御、インク温度、UV硬化が相互に影響を及ぼすため、一連の現象を予測する技術が重要となってくる。また、画像形成において、メディアに着弾したインク滴が互いに接触して結合する挙動のシミュレーション技術を開発している。今回は、これらの技術の紹介と今後の展望について述べる。
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Fig. 1 System of digital inkjet press AccurioJet KM-1
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詳細
■構成
インクジェット分野において、画像品質に直接的に関与する設計とシミュレーション技術の相互関係をFig. 2に示す。これらのシミュレーション技術について紹介する。
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Fig. 2 Simulation technologies relating imaging process.
■機能/特長/用途
1) インク吐出シミュレーション技術
この技術1) をベースに、ピエゾに印加する駆動波形によるIJヘッド内のインクの圧力変動とインク滴の吐出、空中でのインク滴のちぎれと衝突によるサテライトやミストの生成モデルを作成した(Fig. 3)。これによりサテライトおよびミストが発生しにくい設計パラメータを抽出している。本モデルは、インク滴形成過程を予測するCFD(数値流体解析)モデルにインクに作用する圧力変動を表現する1DCAEモデルを組み合わせ(Fig. 4)、表面張力を精度よく評価できるモデル2, 3)を導入することで精度と計算コストを両立させている。
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Fig. 3 Change in positions of ink droplets ejected 10 times in succession.
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Fig. 4 Schematic diagram of cooperation between CFD model and 1DCAE model.
2) 気流シミュレーション技術
インク吐出シミュレーションで得られたインク滴の液量、速度といったデータをもとに、メディア搬送に伴い発生する気流によるインク滴の飛翔を計算する。メディア上に着弾する主滴とサテライトは着弾位置ずれ量を求め画質に及ぼす影響を評価している。またメディアに着弾せず浮遊するミストは、浮遊後の付着/回収先を計算し、機内のミスト汚れや回収効率を評価している(Fig. 5)。
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Fig. 5 Calculated trajectories of mist (violet line) and velocity of airflow (arrow).
3) 伝熱シミュレーション技術
搬送中のメディアの加温、温度低下、UV光照射による温度上昇などを考慮し印刷時のメディア温度を予測する。この技術にて、温度制御に向けた加温/冷却機構の設計、制御構築に活用している(Fig. 6)。
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Fig. 6 Temperature changes of media during transport
4) 画像シミュレーション技術
この技術は、気流シミュレーションからインク滴着弾位置と液量を、伝熱シミュレーションからメディア温度を受け取り、最終予測画像を出力する(Fig. 7)。以前紹介した技術4)は高濃度画像に適しておらず、回帰式を用いた短い時間間隔での変形予測を繰り返すアルゴリズムを開発した(Fig. 8)。インク滴の輪郭線上の各点が1ステップでどのように移動するかは、その点の近傍の状態から予測される。画像濃度のような広域的な状態に依らないアルゴリズムであるため低濃度画像だけでなく高濃度画像にも適用できる。またCFDによる解析と比べ計算時間が大幅に短いため多数のインク滴を扱うことができ、ノズル欠補正などの画像処理設計に活用している。
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Fig. 7 Comparison between a printed image and the estimated dot boundaries.
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Fig. 8 Time evolution of estimated dot boundaries.