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テクノロジー解説室

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ハイパースペクトルカメラとは?仕組みやメリット、導入時の留意点を解説

ハイパースペクトルカメラとは?仕組みやメリット、導入時の留意点を解説

ハイパースペクトルカメラを用いると、従来のRGBカメラでは捉えきれない細かな波長情報を取得し、物質の特性や状態を詳細に分析できるようになります。研究開発や産業分野での活用が広がる中、その仕組みや特徴、メリットや導入時の留意点を正しく理解することが重要です。

本記事では、ハイパースペクトルカメラの基本的な原理や撮影方式、活用用途を解説します。

ハイパースペクトルカメラとは、多くの波長情報を同時に取得できる特殊なカメラ

ハイパースペクトルカメラは、光を波長ごとに細かく分光し、従来のRGBカメラよりも多くの波長情報を同時に取得できる特殊なカメラです。多くの波長情報を取得できることにより、物質の材質や状態を非破壊で詳細に分析できるため、医療、農業、産業検査などさまざまな分野で活用が進んでいます。

ハイパースペクトルカメラは、撮影した画像の各画素について波長ごとの光の反射強度を示すスペクトル情報を記録します。その結果、空間情報とスペクトル情報が3次元的に重なった「データキューブ」と呼ばれる情報を取得することが可能です。データキューブからは対象物の位置情報と、波長ごとの反射や吸収などの光学的な特性(スペクトル情報)の両方を同時に把握できます。

■データキューブのイメージ

データキューブのイメージ

各画素のスペクトル情報は、下記のようなスペクトル曲線と呼ばれるグラフ形式で記録されています。

■スペクトル曲線のイメージ

スペクトル曲線のイメージ

データキューブから撮影対象の特性を解析すると、目視や通常のカメラでは捉えられない情報を「見える化」できるのが大きな特徴です。例えば、植物の健康状態を葉の画像から判別したり、工場で製造した製品への異物の混入を検出したりすることができます。

従来のRGBカメラやマルチスペクトルカメラとの違い

従来の一般的なデジタルカメラなどに採用されているRGBカメラや、用途に応じて複数の波長帯を測定するマルチスペクトルカメラとハイパースペクトルカメラの違いは、測定できる波長帯の数と分光分解能です。

RGBカメラは、赤(Red)・緑(Green)・青(Blue)それぞれの色に対応する広めに重なり合う3つの波長帯の情報しか取得できません。また、マルチスペクトルカメラはRGBカメラよりも多くの波長帯を取得しますが、その数は一般的に数種類から十数種類です。これらに対し、ハイパースペクトルカメラでは、数十種類から数百種類もの細かい帯域の波長帯を連続的に測定できるため、より豊富で高精度なスペクトル情報が得られるのです。

■RGBカメラ・マルチスペクトルカメラ・ハイパースペクトルカメラの違い

RGBカメラ・マルチスペクトルカメラ・ハイパースペクトルカメラの違い

ただし、取得できる情報が多い分、データ量も大きくなるため、撮影後のデータ解析には高度な技術とリソースが必要となる点も、ハイパースペクトルカメラ特有の特徴といえるでしょう。

ハイパースペクトルカメラの撮影方式の種類

ハイパースペクトルカメラの撮影方式は、大きく分けて「ラインスキャン方式」と「スナップショット方式」の2種類があります。それぞれの方式には特徴があり、目的に応じた選択が重要です。

■ラインスキャン方式とスナップショット方式のイメージ

ラインスキャン方式は、1ラインずつの撮影で空間1次元ごと(波長情報と合わせて合計2次元)のデータを得るため、全波長同時に高分解能で撮影できます。ただし、撮影対象またはカメラ側を相対走査(移動)させながら撮影するため、一定の速度で安定して移動させる装置が必要です。

これに対してスナップショット方式は、1回の露光で空間全体を抑えることができ、波長情報と合わせて3次元のデータが1ショットで撮影できます。ラインスキャン方式のように撮影対象を装置に固定して移動させる必要はなく、動きのある対象の撮影や動画撮影も可能です。反面、ただし、1回の露光で空間とスペクトルの情報を同時に扱うため、波長帯の数と画素数の間にはトレードオフが生じ、カメラの種類によっては、画素数を確保するために取得する波長帯の情報を減らしている製品もあります。

ハイパースペクトルカメラのメリット

ハイパースペクトルカメラには、従来のRGBカメラでは実現が難しかった以下のような利点があります。

■ハイパースペクトルカメラのメリット

物理的な特徴原理に基づくメリット活用例
波長分解能が高い極めて僅かな化学的な違いを識別できる脂肪酸の酸化度の違いや、錠剤中の有効成分の配合ムラなどを把握
可視域以外の波長情報を取得できる近赤外光などを観測することで目には見えない特性を把握できる可視光では同じように見える植物の葉から、生育状態の違いを把握
物質の内部を調べられる物質の内部に届き、内部状態が反映された近赤外光を観測することで、非接触・非破壊で内部検査ができる果物の糖度や内部腐敗を切らずに判定
空間情報と波長情報を一体的に把握できる位置ごとの成分を詳しく分析できるため、どこに何があるのかを同時に判別できる樹脂性ボトルなどの、形状が混在したり重なり合っていたりするリサイクル原料の選別

これらのメリットにより、ハイパースペクトルカメラはさまざまな分野における産業の効率化、研究開発への貢献が期待されています。産業分野での異物検知・品質管理、農業・医療分野での成分分析、土壌・植生分析といった環境調査など、幅広い分野に応用できる技術といえるでしょう。

ハイパースペクトルカメラ導入の留意点

ハイパースペクトルカメラには、導入にあたって注意すべき留意点も存在します。

例えば、装置の価格が高額になりやすいという点があります。ハイパースペクトルカメラは高度な分光技術と高精度なセンサーを搭載しているため、一般的なカメラに比べて装置自体のコストが高くなりがちです。また、専用の解析ソフトが必要になる場合、必要な初期投資はさらに大きくなります。

加えて、膨大なデータ量を取得できる一方、そこから必要なデータを見極めて解析するためには、解析の背景を理解する専門知識や高度な分析スキルが求められる点も導入のハードルを高めています。専門のエンジニアや研究者の関与が必要になるケースもあるため、導入後の運用体制も検討すべきポイントです。

このように、ハイパースペクトルカメラは高性能である一方、導入・運用には一定のハードルがあることを理解しておく必要があります。

ハイパースペクトルカメラに興味がある場合はコニカミノルタにご相談を

ハイパースペクトルカメラは、従来のRGB/マルチスペクトルカメラでは取得できなかった詳細で膨大なな波長情報を取得することで、これまでは困難だった定量的な識別・評価を実現する革新的な技術です。その応用範囲は広く、農業・医療・工業・環境分野などで注目を集めています。

撮影方式や解析方法にはいくつかの選択肢があり、導入を検討する際には、自社の課題や目的に合った技術の選定が重要になるでしょう。また、取得データの活用には専門的な知識が求められるため、技術的な支援体制も含めたパートナー選びが成功のカギとなります。

コニカミノルタでは、独自の内蔵分光スキャン技術を活かした高精度なハイパースペクトルイメージング技術を開発し、さまざまな波長帯や用途に応じたハイパースペクトルカメラを提供しています。光学技術のリーディングカンパニーとして培った知見を基に、貴社の課題に対して最適な技術支援をご提案いたします。さらに、取得したデータの分析や解析を効率化する専用ソフトウェアやサポート体制も整えております。研究用途から産業応用まで、技術提携や製品導入をご検討の際は、ぜひ一度コニカミノルタまでお問い合わせください。

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