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ISO/IEC 17025 試験所認定維持活動を通じた無機分析の信頼性確保のための取組み

KONICA MINOLTA Technol. Rep. 2026, 23, 20

ISO/IEC 17025 試験所認定維持活動を通じた無機分析の信頼性確保のための取組み Reliability of Inorganic Analysis through ISO/IEC 17025 Laboratory Accreditation Efforts

  • 西渕 貞敏* Sadatoshi NISHIBUCHI
  • 松井 絵里* Eri MATSUI

*技術開発本部 データサイエンスセンター

1 概要

 無機分析チーム(以下、無機チーム)は、全社製品をけん引する材料分析に加えて環境対応分析の一部を担当しており、RoHS(Restriction of Hazardous Substances)指令対応のため2008年にISO/IEC 17025の認定を取得した1)。環境対応分析としては主に材料の重金属とハロゲンの分析を実施している。環境対応分析は結果の信頼性が重要であり、ISO/IEC 17025の試験所認定など第三者機関による審査や技能試験を通じて精度の確保を行っている。
 無機チームは祖業である銀塩写真関連での微量金属分析やハロゲン分析で高い技術力を有しているが、認定維持活動の中で新たに効率化と精度確保の両立のために取り入れてきた技術やハロゲン分析の技術、それらの技術の妥当性の確認のために参加してきた技能試験に関して紹介する。
 さらにこれらの活動を通して構築した分析技術で、一般に頒布されている認証標準物質の値付けや安定性評価のための共同実験に参加協力することで社会貢献を行ったので合わせて紹介する。

2 詳細

■構成

 環境対応における重金属分析では、主として密閉式マイクロ波分解装置による酸分解:ICP-MS法を採用している。
ハロゲン分析に関しては、試料に応じてIC、WDX、ICP、滴定など様々な機器で実施しているが、難燃剤やPFASなどの環境分析の前処理としては主に燃焼法を行っている。

■機能/特長/用途

1.環境対応の重金属分析
 無機チームでは精度をあげることを目的に、内部標準をマイクロ波分解後の分解容器に直接投入しており、濃度に応じた希釈の変更を行っていない。環境対応で分析する試料は未知であるため、範囲の広い検量線が有利である。また広範囲の検量線を使用し一度の測定で評価ができれば器具や工数削減にも繋がる。無機チームではこれらを満足させるために、1 ppb~40 ppbが定量可能な比較的広範囲の検量線を使用している。機器分析では一般的に低濃度側でばらつきが大きくなるため、広範囲の検量線を使用すると低濃度側の定量精度が落ちる。定量範囲全体の精度を確保するため、重みつきの最少二乗法の適用を検討した。ISO/IEC 17025では要求事項として不確かさの算出がある。重みつきの不確かさに関して論じられた文献は少なく、無機チームでは四角目らの報文2)3)を参考に式(1)で算出した。不確かさ推定には積み上げ式とトップダウン式の2種がある。無機チームでは、積み上げ式は検量線の不確かさが他の要因と比較して大きいため測定毎に不確かさを算出、トップダウン式は過去の標準物質の測定結果より不確かさを算出、両者の比較を行った後、どちらか大きい方を採用している。これにより過大過小評価することなく、実態に即した不確かさを付与することが可能となっている(Fig. 1)。

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Fig. 1 認証標準物質の測定例(Cd)

2.環境対応のハロゲン分析
 環境対応で必要とされるハロゲン分析に関しては主に燃焼イオンクロマト法を使用している。一般的な電気伝導度検出では困難な分析例として塩ビ中の微量臭素の測定例を示す(Fig. 2)。大量に存在する塩素の影響を除くためUV/VIS検出での定量を行った。

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Fig. 2 塩ビ中の微量臭素の測定例(燃焼イオンクロマトグラム)

3.技能試験、共同実験への参加
 力量監視と試験所間比較のため、公益社団法人日本分析化学会主催、China NIL Research Center for Proficiency Testing主催の技能試験に継続的に参加しており、低濃度から高濃度まで毎回トップレベルの成績を納めている(Fig. 3)。

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Fig. 3 技能試験結果

 技能試験の成績により日本分析化学会から共同実験参加の依頼があり、ミニ共同実験を含め計7回参加している。毎回、高い精度の結果を提供することで社会貢献している(Table 1)。

Table 1 共同実験参加実績

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■今後の展望

 無機チームでは写真材料の分析で培った精度高い化学分析の技術をもとにISO/IEC 17025試験所認定を取得、さらに認定を維持することにより得られた技術や知見を環境対応や社内の製品開発に貢献してきた。また共同実験に参加することにより社会貢献も行ってきた。今後も信頼性の高い分析でお客さまへの安心安全や製品開発に貢献していく。

●参考文献

1) Watanabe, T; Nishibuchi, S; Iwamaru, S. Technical Improvement and Reliability Validation for Environmental Analysis. KONICA MINOLTA Technol. Rep. 2009, 6, 42-46
2) Shikakume, K; Sato, H. Linear calibration line by weighted least-squares method – the approach and the uncertainty. Environment and Measurement technology. 2004, 31, 2,17-27
3) Shikakume, K. Uncertainty of the linear calibration line for instrument calibration. Environment and Measurement technology. 2004, 31, 11, 23-26

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