お問い合わせはこちら

協業や技術に関して
お話しましょう

contact-icon
contact-icon

協業事例インタビュー

AIによる物質評価の新技術「FLAIRS」の担当者が語る協業への想い

協業先と新たな価値や未来を作り出す「共創」

コニカミノルタにとっての共創は、自社の技術や課題の見方にとらわれず、新たな価値をいち早く社会に届け、社会をより良くしていくための手段です。ときにはパートナーの課題に寄り添い、ときには私たちが見出した社会課題を、パートナーの力を借りながら解決していく。私たちは、手段にこだわらず、常にオープンな姿勢でイノベーションの創出に挑んでいます。コニカミノルタとの共創は、実際にはどのような流れで進んでいくのか、気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか?

今回は、AIを活用して物質の状態を総合的に評価できる新技術「FLAIRS」の担当者の南さんに、FLAIRSについて協業を進める際のプロセスや、協業への想い、協業が進んだ実例などについて話を伺いました。

  
AIによる物質評価の新技術「FLAIRS」の担当者が語る協業への想い

この人に聞きました(担当者プロフィール)

南 晴貴

技術開発本部 デバイス技術開発センター 所属。AIを活用して液体などのサンプルの状態を総合的に評価できる技術「FLAIRS」の事業開発を担当。FLAIRSで協業先の課題を解決する業務に携わる。

  

担当者が開発している技術

“人の感覚による評価”をAIで再現できるとしたら?――南さんが手がけるFLAIRSは、そんな未来を現実に近づける技術です。ここでは、FLAIRSの可能性に迫りました。

コニカミノルタ 南さん

FLAIRSという技術と南さんの担当業務について、詳しく教えてください。

FLAIRSは、センサーによって物質の状態や機能に関するさまざまな情報を取得し、その複雑なデータをAIで多次元的に解析する評価技術です。従来のセンサーのように特定の成分を測って数値化するだけでなく、複合的な要素を捉え、人間の感覚に近い総合的な評価を実現することを目指しています。私は、FLAIRSの技術で協業先の課題をどのように解決できるのかを提案しながら、技術の活用法を研究する業務を担当しています。

具体的には、FLAIRSという技術はどのような分野でどのように活用できるのでしょうか。

食品分野であれば、人間による官能評価と同じように食品の味を評価できます。例えば、従来の技術では糖度の数値化はできましたが、糖度以外の要素が変わった場合、人の甘さを感じる感覚にどう影響するかは分析できませんでした。その点、FLAIRSなら、さまざまな物質を総合的に分析して人の感覚に近い味の評価をすることも可能になります。

また、味の評価だけでなく、薬品などで製造ロットごとに品質の違いが生じているかどうかや水や混合液などが理想的な状態にあるかどうかなどを総合的に評価することも可能な技術です。

FLAIRSの技術を協業先に提供することで、どのような価値を創造することを目指しているのでしょうか?

FLAIRSの技術がどれだけ優れていても、それが協業先のビジネスの価値につながるものでなければ意味がありません。ただ、FLAIRSは新しい技術であるため、FLAIRSがビジネス上のどのような課題に対応できるのかを把握しきれていない部分もあります。そのため、多様な業種から協業先を募り、FLAIRSの技術が事業にメリットをもたらす活用方法を、さまざまな協業先といっしょに考えている段階です。

FLAIRSに関する協業の流れ

FLAIRSの技術を協業先に提供する際は、段階的な分析を通じて、着実に検証を進めていくスタイルがとられています。協業の開始から課題解決までの一連のステップについてお伺いしました。

協業が始まる際は、どのような流れで進むのでしょうか?

展示会などで技術に興味を持っていただいた企業や、Webでお問い合わせをいただいた企業などに後日訪問して、「FLAIRSでこのような課題が解決できるかもしれません」といった形で提案をしています。Webでのお問い合わせについては、随時受付中です。

提案を通じてコミュニケーションを重ねながら、FLAIRSで解決できることと協業パートナーの困りごとの交点を探っていきます。

提案から協業の段階に進むと、どういったプロセスがあるのでしょうか?

最初のプロセスは、協業先からサンプルを提供してもらって、FLAIRSで分析することです。異なるサンプルを用意して、FLAIRSが人の官能評価などと同じようにサンプルの状態の違いを可視化できるか確認するところから始めます。

違いを可視化できたら、その分析結果を協業先に共有し、FLAIRSを通じて協業先のどのような課題が解決できそうかにフォーカスしていきます。

最初の面談からの全体的な流れと、それぞれのプロセスでかかる期間について教えてください。

最初の面談からの流れをまとめると、面談後にサンプルをいただいてから「(1)FLAIRSが異なるサンプル間での違いを分析できるかどうかの確認」「(2)その分析結果の報告と面談」「(3)課題解決につながる分析のためのデータ学習」と進みます。

各プロセスでかかる期間の目安は、(1)の分析についてはサンプルが届いてから1週間程度、(2)の報告と面談の準備が整うまでに1週間程度の期間をいただいています。(2)の面談を踏まえて(3)のデータ学習に進むことになったら、新たにサンプルをもらったり、官能評価の担当者に協力を依頼したりすることもあるため、必要な期間はケースバイケースです。ただ、データ学習の期間でも1ヵ月程度はかかるでしょう。

■参考:問い合わせから始まる場合の協業のプロセス

図:STEP01 フォームからお問い合わせ / STEP02 ご要望について当社内で検討 / STEP03 当社から情報提供や次のアクションを回答 / STEP04 双方の意向がマッチしたらお打ち合わせを設定 / STEP05 オフライン 当社の共創拠点もしくは貴社拠点でお打ち合わせ・オフライン Web会議ツール(Teams,Zoom等)でお問い合わせ

協業が進んだ実例

FLAIRSは、今後の発展が期待される領域でも成果を見せ始めています。実際に協業が進んだ事例についてお伺いしました。

コニカミノルタ 南さん

これまでどのような企業と協業が進みましたか?

サプリメントメーカーや食品添加物メーカー、バイオ分野の企業といったさまざまな協業先で、FLAIRSの技術提供を行いました。これまでの実績としては、トライアルのサンプル分析は数十件以上お受けしており、そのうち協業パートナーとして継続的なやり取りをさせていただいている企業は5社となります(※2025年6月現在の実績)。現在は、協業先のビジネスにおいてどのような価値を生み出せるかを、いっしょに検討している段階です。

協業に対するFLAIRS担当者の姿勢と協業パートナーに期待すること

新しい技術であるFLAIRSを協業先に提案する上で、南さんはどのようなことを心掛けているのでしょうか?協業を進める際の心構えなどをお伺いしました。

協業を進める上で大切にされていることは何ですか?

協業が始まる際は、協業先の担当者も自社の課題を明確に言語化できていないケースも多いので、いっしょに課題を見つけていく姿勢を心掛けています。対話を重ねながら、「何となく困っていること」を言語化し、協業先が本当に解決したい課題を浮かび上がらせられるようなコミュニケーションがしたいと常に考えています。

FLAIRSが協業先のビジネスにどのように役立ち、どのような価値を生み出せるか、協業先とともに考えることを大切にしたいですね。

協業先に求める姿勢として意識している点はありますか?

協業先の方からは、「この違いがわかるような分析結果が出てくれないと困る」といった“わがまま”をどんどん言っていただきたいです。お互いの考えをぶつけることでFLAIRSの可能性も広がると考えているので、率直なご要望こそが価値共創の出発点になると思っています。

また、いっしょに試行錯誤していく姿勢を持っていただける協業先との取り組みは、成果に結びつきやすいように感じますね。課題が完全に言語化されていない段階でも、「まずはやってみよう」という柔軟性と前向きな姿勢が、協業を成功に導くカギだと考えています。

ほかにも、私の認識している課題や提案のピントがずれている場合は、「そういうことで困っているわけじゃない」と遠慮なく指摘していただきたいです。FLAIRSで解決できそうかどうかは置いておいて、ビジネス上のお困りごとを何でも話してほしいですね。お話を伺う中でFLAIRSが役立つポイントが見つかるかもしれませんし、そうでなくてもコニカミノルタのほかの技術を紹介できるかもしれません。コニカミノルタとの協業が、新たなビジネス上の価値につながるような対話ができればと考えています。

協業におけるコニカミノルタの強み

コニカミノルタに協業の相談をすると、どのようなプラスの面があるのでしょうか?南さんが考えるコミカミノルタの組織的な強みをお話しいただきました。

協業という観点で、コニカミノルタの強みはありますか?

事業の幅が広く、部署間の横断的なつながりがあることが協業での強みになっています。協業先の課題を伺っていると、FLAIRSでは対応できない課題に直面することもあります。そこで課題解決をあきらめるのではなく、他部署と連携して最適な解決策を提案して、協業先に喜んでもらえたこともありました。

社内の展示会や交流会などでほかの部署の技術に関する知識を吸収できる環境があるため、FLAIRS以外の選択肢も含めて協業先の課題解決を検討できるのが、コニカミノルタの強みだと思います。

今後の展望

FLAIRSの応用可能性は広く、今後さらなる分野での展開が期待されています。これから注力していきたい技術領域や、協業を考えている企業様へのメッセージをお伺いしました。

これからFLAIRSの活用を広めていきたい分野はありますか?

現在注力している食品業界やバイオ業界のほか、水産業や環境ビジネスなどのさまざまな分野での活用の可能性を模索しています。FLAIRSの可能性はこれらの分野に限定されるものでもないと思いますので、幅広い協業先と検証を進めていきたいです。

最後に、協業を検討している企業様へのメッセージをお願いします。

「こんなことに使えるのかな」といった曖昧な疑問でも構いません。むしろ、そういった段階からいっしょに形にしていくことが我々の強みです。Webサイトのお問い合わせフォームなどから、ぜひお気軽にご連絡ください。

コニカミノルタとの協業をお考えの方は、お気軽にお問い合わせを

今回のインタビューを通じて印象的だったのは、技術そのものの革新性はもちろん、それをどう企業の課題解決に役立てるかという視点で常にお客様と向き合っている姿勢でした。仮説を立てて試行錯誤を重ね、共に価値を創り出そうとする意識が感じられます。

「わがままを言ってほしい」と語る南さんの言葉には、協業先に対する信頼と期待や、単なる技術提供にとどまらない共創の精神が強く込められているのではないでしょうか。コニカミノルタと協業してお困りごとの解決に一緒に取り組みたいとお考えの方は、お気軽にご相談ください。

(取材日:2025年5月9日)

コニカミノルタとの協業をご検討される方へ

ご要望や用途に合わせて個別の相談を受け付けております。ご連絡ください。

コニカミノルタへのお問い合わせはこちら