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味覚センサーとは?仕組みや活用事例、課題について解説

味覚センサーとは?仕組みや活用事例、課題について解説

味覚センサーは、食品や飲料の味を数値化し、客観的に評価するための技術として活用されています。味覚センサーがあれば、食品開発や品質管理の分野で味のブレを抑えたり、最適な味を追求したりすることができます。では、味覚センサーはどのような仕組みで味を測定し、数値化しているのでしょうか。

本記事では、味覚センサーの基本的な仕組みや活用事例、課題について解説します。

味覚センサーとは、味を識別してデータを数値化する技術・装置

味覚センサーとは、人間の舌と同じように味を識別し、そのデータを数値化する技術や装置のことです。食品や飲料の味を客観的に評価できるため、食品業界をはじめとするさまざまな分野で活用されています。

人間の味覚は、主に甘味、酸味、塩味、苦味、うま味の5つの基本味から成り立っています。味覚センサーは、これらの味をサンプルから検出し、それぞれの強さを分析することで、食品の味のバランスや特徴を数値化することが可能です。

味の評価は、これまで人間の官能評価に頼る部分が大きく、個人の感覚や経験に左右されることが課題とされていました。味覚センサーを用いることで客観的なデータにもとづく分析が可能になり、食品などの製品の品質向上や研究開発の効率化が進められています。

味覚センサーの仕組み

味覚センサーは、人間の味覚を再現して味を数値化しています。人間の舌には味蕾(みらい)と呼ばれる組織で味を感じ取り、その情報を電気信号に変換して脳へと伝達します。一般的な味覚センサーで用いられているのは、この仕組みを人工的に再現するために、食品や飲料のサンプルを人間の舌の細胞を模した人工脂質膜に接触させる方法です。

人工脂質膜に味の成分が接触すると微細な電位変化が発生するため、味の成分によって異なる反応を示すセンサーでこの電位変化を測定します。電位変化のデータを解析することで、甘味、酸味、塩味、苦味、うま味などの強さやバランスを数値化することができます。

■味覚センサーの仕組み

味覚センサーの仕組みを示す図。味覚受容膜で修飾した複数の電極が液体サンプル内の味覚成分を検出し、電気信号に変換して統計・AI解析を行い、レーダーチャートや散布図で可視化する流れを表している。

味覚センサーの活用事例

味覚センサーは、さまざまな領域で活用されています。主な業界・分野での活用事例は、下記のとおりです。

食品・飲料分野

食品・飲料業界では、商品開発などで味覚センサーが用いられています。味覚センサーを活用すれば味のバランスを数値化できるため、新商品の開発時に狙った味を再現しやすくなります。また、製造過程での味のばらつきを抑え、品質を安定させることも可能です。

農業分野

味覚センサーは、農業分野の品質評価などでも役立ちます。栽培環境によって変化する野菜、果物の味の違いは見た目では判断できないこともありますが、味覚センサーがあれば味を数値化できるため、分析した味の評価を表示することが可能です。

医療分野

医薬品の開発においても、味覚センサーが活用されています。錠剤やシロップの苦味を軽減するために、味覚センサーを用いて苦味成分の強さを測定し、飲みやすさを向上させる研究が進められています。

味覚センサーの課題

味覚センサーは、味の要素を数値化し、客観的に評価できる技術として多くの分野で活用されています。しかし、従来の味覚センサーにはいくつかの課題も存在します。

例えば、味の成分を数値化するだけの従来の味覚センサーでは、総合的なおいしさの評価は困難です。従来のセンサーでは、甘味、酸味、塩味などの個々の味の強さを数値として測定することはできますが、それらを組み合わせた味のバランスや複雑な風味について、人間がおいしく感じるかどうかの評価は困難でした。人間の舌は、複雑な味の組み合わせを総合的に判断しておいしさを認識しますが、従来の味覚センサーでは、そのような多元的な評価は難しかったといえます。

また、味のマスキングに対する評価にも課題がありました。マスキングとは、食品開発などで、酸味や苦味などの不快な味・風味を抑えるためにほかの味を加えることです。従来の味覚センサーでは、マスキングを行っても酸味や苦味などは個別に数値化されるため、マスキングによって変化した総合的な味の印象を正しく捉えることは困難でした。つまり、人間の味覚では酸味や苦味が抑えられたと感じる場合でも、味覚センサーは酸味や苦味の成分が存在する限り、数値として表示してしまうのです。

このように、従来の味覚センサーには、味の総合評価に課題を抱えていて、人間の主観的な評価に頼らざるを得ない部分がありました。

味覚センサーの課題を解決するコニカミノルタのFLAIRS

従来の味覚センサーは、味の要素を個別に数値化することはできても総合的な評価には限界がありましたが、コニカミノルタが開発した評価ソリューション「FLAIRS(FLuorescent Analysis with Inductive Recognition System)」であれば、その課題を解決できます。

FLAIRSは、AIを活用した次世代の評価技術であり、従来の味覚センサーでは困難だった味の総合評価が可能です。この技術は、味の成分の数値を組み合わせた膨大なデータを基に味のバランスや複雑な変化を解析し、人間の味覚に近い判断を行うことができます。例えば、ジュースに加えられた甘味料が総合的な味に与える影響を精緻に評価でき、マスキングによる味の変化を捉えることも可能です。

なお、FLAIRSは味だけでなくさまざまな成分を分析することができ、例えば、偽造医薬品の識別や、サプリメントなどへの異物混入リスクに対する異常検知といった、味覚以外の成分分析の分野にも応用できます。FLAIRSの導入により、味などの成分の総合的な評価が可能になり、食品開発や品質管理の分野で新たな可能性が広がっています。

人間の感覚に近い最先端の味覚センサーを導入しよう

味覚センサーは、食品や飲料の味を数値化し、客観的に評価できる技術として広く活用されています。しかし、従来の技術では味の個々の要素を分析することはできても、総合的な味の評価やおいしさの判断には限界があり、最終的な味の評価は人間による官能検査に頼るしかありませんでした。

コニカミノルタのFLAIRSであれば、こうした課題を解決することが可能です。FLAIRSはAIによる高度なデータ解析を取り入れることで、従来の味覚センサーでは難しかった総合的な味の評価を可能にし、食品開発や品質管理の現場において新たな可能性をもたらします。より精密な味覚分析を実現し、製品の品質向上に役立てたいとお考えなら、コニカミノルタのFLAIRSを活用した味覚センサーの導入をぜひご検討ください。

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