お問い合わせはこちら

協業や技術に関して
お話しましょう

contact-icon
contact-icon

生成AI活用により加速する知財DX

KONICA MINOLTA Technol. Rep. 2026, 23, 21

生成AI活用により加速する知財DX Accelerating IP DX through Generative AI Utilization

  • 楠田 将之* Masayuki KUSUDA

*知的財産部

1 概要

 当社知的財産部門では、Microsoft Azure OpenAIを基盤とした自社開発のAIアプリ群を、開発部門・知的財産部門・国内特許事務所の3ユーザーに設定して展開している。このアプリ群は、特許出願前調査、技術動向分析、明細書作成支援等の業務に日常的に活用されており、生産性向上に寄与している。社内イントラネット上の「知財アプリポータル」(Fig.1)から誰でもこのアプリ群を利用可能であり、まずは“使ってみる”文化の醸成を図りながら、段階的に価値創出へと移行する方針である。代表的なアプリとして、「すまーとAI先行例調査!」がある。これは、開発者が発明のアイデアを入力するだけで、先行特許と該当段落を抽出し、生成AIがそれらを比較・評価した上で出願への助言を提供する。同アプリは2025年3月の全社リリース以降、現在では月間約500回の実行実績があり、先行例調査にかかる工数の削減に貢献している。

写真

Fig. 1 IP Apps Portal GUI

2 詳細

■構成

 知的財産部門のAI活用体制は、①開発部門向け、②知的財産部門向け、③国内特許事務所向けの3層構成とし、利用者の課題に即した機能を提供する。開発部門向けAIアプリは社内イントラの「知財アプリポータル」から全社横断的に利用でき、開発部門の知財関連業務の効率化を目的に整備した。開発部門向け領域では、開発現場で頻度の高い特許出願前調査・技術動向調査を重点化し、先行例調査アプリ「すまーとAI先行例調査!」と情報分析アプリ「おまかせIPランドスケープ!」を中核に据える。

■機能/特長/用途

 「すまーとAI先行例調査!」は、発明アイデアを自然文で入力するだけで公開特許公報から類似文献を抽出し、関連度の高い該当段落を特定して一覧化する。さらに、発明アイデアと先行文献を生成AIが比較・評価し、出願に向けた改善点や留意点を助言する(Fig.2)。

写真

Fig. 2 Smart AI Prior Art Search App GUI

これにより、従来のように特許検索式の作成・改良、先行例内容把握を反復する負担を軽減し、短時間で先行例を把握しつつ発明アイデアのブラッシュアップに注力できる。アーキテクチャは、①先行例調査: Prior Art Search(文献抽出)、②LLMスクリーニング: Screening Engine(該当段落の抽出・リスト化)、③発明アイデア評価: Invention Evaluation Modules(生成AIによる比較評価・助言)、④AIチャット: AI Chat(発明アイデアブラッシュアップ)の4ブロック構成のWebアプリケーションであり、社内オンプレミスサーバーにデプロイして運用している(Fig.3)。

写真

Fig. 3 Smart AI Prior Art Search App Block Diagram

■今後の展望

 「すまーとAI先行例調査!」は新しいAIモデルへの迅速な対応を継続し、精度・速度・コストの最適点を保ちながらAI性能向上の恩恵を即時に取り込む。また、先行例調査の肝となる先行文献抽出精度についても、新しいアーキテクチャを積極的に採用し精度向上に努める。さらに、知的財産部門では先行例調査にとどまらず、クリアランス調査、定常監視、明細書品質改善など様々な知財業務へのAI活用を展開する予定である。

\技術提携・共同研究に関するご相談を、
専門チームが対応します/