ノズル循環技術
循環性能と射出性能の向上による産業分野の生産性の向上と品質アップに貢献
大粒子インク・乾燥性インクに対応して、新たな用途を切り開く
インダストリーで使用されるIJヘッドは高画像品質だけでなく、高い生産性および多様なインクに対する適合性も要求されます。例えば機能を有した粒子が分散されたインクにおいては粒子が沈降せずに長期間安定して射出可能であることが要求されますが、コニカミノルタの循環技術は大粒子の沈降防止に適しています。また、気泡混入時もノズルからインクを排出せずに循環流路のみで気泡を排出可能なので、メンテナンス時のインクの消費を抑制することが可能です。
技術概要
循環ヘッドはインクチャネルと連通した循環流路から常時インクが排出されることによってインクチャネルとノズルのインクがリフレッシュされ,粒子沈降・ノズル内のインク乾燥・気泡による射出不良を抑制することが可能です。一般的なノズル循環ヘッドは片側にのみ循環流路が設けられた構造なので反対側にインクが滞留し気泡が排出できない課題がありましたが、コニカミノルタはインクチャネルの両端に循環流路を設けることで、滞留が無く完全に気泡排出が可能な設計としています。
乾燥性インクへの適合性
水系インクは乾燥性が高いので、非射出状態ではノズル内のメニスカス表面から空気中に水分が蒸発し、ノズル内のインク粘度が上昇することで射出時の液滴速度が低下し、射出欠を引き起こすデキャップという現象が発生します。このノズル循環技術に対して更にノズル内のメニスカスを微振動させる揺らし波形という技術を組み合わせることで、デキャップを抑制することが可能になります。 乾燥性の高い水系インクを用いて1~10秒間、非射出で待機した際のデキャップの評価では、10秒間非射出で待機した場合はノズル循環無&揺らし波形無の実験条件において24%速度低下していたのに対して、インク循環有&揺らし波形有では全く速度低下しないという評価結果が得られました。
気泡による射出不良からの自己回復
長期間安定して良好な射出状態を維持することがインクジェット技術の課題であり、気泡混入等によって射出不良が発生した場合は装置稼働を長時間止めるメンテナンスが必要でしたが、ノズル循環機能によってメンテナンスをしなくても気泡排出することが可能となっています。射出しているヘッドへのインク供給を停止させてメニスカスブレイクにより気泡をノズルから巻き込んだ後、インク供給を再開させるとノズル全てが初期状態同様に射出していることを確認しました。