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AIを用いたX線動態解析DM-MODEの横隔膜認識性能向上

KONICA MINOLTA Technol. Rep. 2026, 23, 12

AIを用いたX線動態解析DM-MODEの横隔膜認識性能向上 Improving Diaphragm Detection Performance of X-ray Video Analysis DM-MODE using AI Segmentation

  • 村上 大輔* Daisuke MURAKAMI
  • 南 寛威* Hirotake MINAMI

*ヘルスケア事業本部 開発統括部

1 概要

 X線動態撮影システムはパルスX線を用いて胸部などを撮影することにより、従来の単純X線撮影に時間軸の動きを加え、評価可能にした新しい医療機器である。
 コニカミノルタが提供するX線動態解析ワークステーションの機能の一つである「DM-MODE」は、横隔膜の上下方向の動きを追跡し変位量を表示する機能であり、横隔膜神経麻痺の評価など、ICU(Intensive Care Unit)での病態管理への応用が期待されている。1) 2)(Fig. 1, 2)

Fig. 1 Example of “DM-MODE”

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Fig. 2 Example of diaphragmatic displacement (Horizontal axis: Frame number, Vertical axis: Diaphragmatic displacement, Purple line: Right diaphragm, Green line: Left diaphragm)

 従来は画像コントラストに基づくルールベースの手法により横隔膜の位置を認識していたが、疾患の重畳や心陰影拡大などにより横隔膜の境界が不明瞭となる画像では認識精度が低下する課題があった。本稿で紹介するAI(Artificial Intelligence)技術を用いた手法では、横隔膜の視認が容易ではない画像を含んだデータにおいても、高い認識精度を確保できることが確認された。本稿では、「DM-MODE」の構成及び従来技術での課題からAI技術による改良結果を紹介する。

2 詳細

■構成

 X線動態撮影システムは以下の図のようにパルスX線発生装置及びX線動態解析ワークステーションKINOSISから構成されており、当社ではパルスX線発生装置としてAeroDR TX m01を展開している。(Fig. 3, 4)

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Fig. 3 Configuration of Dynamic Digital Radiography

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Fig 4. AeroDR TX m01

 X線動態解析ワークステーションKINOSISでは、本稿で紹介する「DM-MODE」を含め、心拍との周期性解析の「PH2-MODE」や肺野内変位追跡の「LM-MODE」などの機能が実装されている。(Fig. 5)

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Fig 5. Analysis provided by KINOSIS (partial excerpt)

■機能/特長/用途

 「DM-MODE」において、従来のエッジ情報を用いたルールベースのアルゴリズムでは、疾患の重畳や心陰影拡大などにより横隔膜周辺のコントラストが低下した画像で、認識位置を誤る課題があった。(Fig.6(a), 7(a))
 このような課題に対して、複数の診療放射線技師有資格者へのヒアリングに基づき、実際の医療現場で想定される多様な症例を選定・加工した画像でAIを学習させることにより、横隔膜周辺のコントラストが低下した画像においても横隔膜の正確な位置を同定することが可能となった。AIモデルとしてはCNN系を採用しており、多忙な医療現場では処理時間の短さも極めて重要になるため、AIモデルのパラメータ数・入力画像サイズ等を可能な限り軽量化するようチューニングした。

(a). Rule-Based, old algorithm
(b). AI-Technology, new algorithm

Fig 6. Image with unclear diaphragm due to disease

(a). Rule-Based,old algorithm
(b). AI-Technology,new algorithm

Fig 7. Image with low contrast diaphragm due to enlarged heart

 これらの取り組みの結果、当社評価データにおいて横隔膜同定の成功率が80%から95%へ向上し、大幅な精度向上を実現した。また、従来のアルゴリズムと比べて、処理時間も1/7~1/8程度に短縮された。(Fig. 8)

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Fig 8. Evaluation results of recognition success rate and processing time

■今後の展望

 AI技術を用いた「DM-MODE」の横隔膜認識により、横隔膜周辺のコントラストが低下した画像においても高精度な認識を実現した。コントラストが低下しやすい重症患者・臥位撮影の症例では特にその効果が期待され、例えばICUにおけるX線動画解析の臨床応用拡大に寄与するものと考えられる。

●参考文献

1) FitzMaurice, T. S.; et al. Characterisation of hemidiaphragm dysfunction using dynamic chest radiography: a pilot study. Liverpool Heart and Chest Hospital. ERJ Open Research 2022, 8(1), 00343-2021. DOI: https://doi.org/10.1183/23120541.00343-2021
2) Kanaya, A.; et al. Utilization of a Digital Radiographic Imaging System for Assessing Ventilation and Guiding Rehabilitation in a Post-lung Transplant Patient: A Case Report. Cureus 2025, 17(7). DOI: https://doi.org/10.7759/cureus.87955

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