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次世代インテリジェントメディアセンサ:紙種判別技術を用いた操作の自動化と生産性向上

KONICA MINOLTA Technol. Rep. 2026, 23, 3

次世代インテリジェントメディアセンサ:紙種判別技術を用いた操作の自動化と生産性向上 Next-generation Intelligent Media Sensor System: Automating Operations and Enhancing Productivity through Paper Type Identification

  • 辻本 隆浩* Takahiro TSUJIMOTO
  • 木俣 明則* Akinori KIMATA
  • 植村 昂紀* Takaki UEMURA
  • 神谷 昌弘* Masahiro KAMIYA
  • 髙津 宏明* Hiroaki TAKATSU

*デジタルワークプレイス事業本部 開発統括部 製品開発センター

要旨

 コニカミノルタは、オフィス印刷(OP:Office printing)からプロダクション印刷(PP:Production printing)まで幅広い電子写真製品の品質向上を目指している。紙特性の違いによる紙詰まりや画質不良を防ぐため、独自開発の光学・超音波技術を融合した「紙特性のセンシング技術」と、これを活用した自動判別アルゴリズムを開発した。本技術は、従来困難であった多様な紙種の高精度な識別を可能とし、bizhub C**1iシリーズでは光源LED(Light Emitting Diode)の波長を3種から6種に増やすことで、検出可能な紙種を約1000種に拡大している。これにより、用紙設定の手間やミスを大幅に削減し、世界中の多様な用紙への対応、生産性と業務効率の向上、ユーザーや管理者の負担軽減に大きく貢献している。さらに、印刷中の用紙種の切り替わりも常時検知し、紙詰まりや画像品質低下を未然に防止することで、顧客満足度と社会的価値の向上を実現している。

Abstract

Konica Minolta aims to enhance the quality of a wide range of electrophotographic products, from office printing (OP: Office Printing) to production printing (PP: Production Printing). To prevent paper jams and image defects caused by differences in paper characteristics, we have developed a unique “paper property sensing technology” that integrates proprietary optical and ultrasonic technologies, along with an automatic discrimination algorithm utilizing this technology. This innovation enables highly accurate identification of various paper types, which was previously difficult. In the bizhub C**1i series, the number of LED (Light Emitting Diode) wavelengths was increased from three to six, expanding the range of detectable paper types to approximately 1,000. As a result, the burden and errors associated with paper setting are greatly reduced, supporting a wide variety of paper tyepes used worldwide and significantly improving productivity and operational efficiency, while reducing the workload for users and administrators. Furthermore, the sensor constantly monitors changes in paper during printing, preventing jams and image quality degradation before they occur, thereby enhancing customer satisfaction and social value.

1 緒言

1-1. はじめに

 電子写真プロセスでは、感光体上のトナー像を搬送された紙表面に転写し、定着時の熱と圧力によって紙に固定する。そのため、紙特性が通紙性能や画像形成プロセス条件に大きく影響し、紙特性情報を基に細かな制御を実施している。そこで、各社ともに内容に違いはあるが、紙特性に深く関わる「坪量」や「紙種」に関連する用紙設定項目を設け、顧客による設定操作を必要としている。坪量とは、紙特性を示す最も基本的な仕様値であり、用紙1 m2あたりの重さを単位(g/m2)で表す値である。紙種は多種多様であり、電子写真に使用される用紙も複数に分類されるが、大きく2種に分けると、非コート紙とコート紙に分類される。非コート紙は、一般的にオフィスで使用される用紙(普通紙)であり、坪量の違いにより薄紙、普通紙、厚紙、再生紙、色紙と呼ばれることがある。コート紙は、非コート紙の表面を樹脂コーティングした用紙であり、表面が滑らかでツヤのある紙である。光沢の違いによりグロス紙とマット紙に分類され、カタログや写真集などで主流の紙種である。

1-2. 技術開発

1-2-1. 技術選定の背景
 OPでは、坪量テーブルに紐付けされた薄紙、普通紙、厚紙、再生紙、色紙、及び封筒などの用紙種に応じてMFPの印刷条件選択が必要である。しかし、用紙種を区別することが困難で印刷条件を選択できず、選択操作の必要性を認識していない場合もある。そのため、市場で発生する不具合内容の12.5%が用紙設定間違いに関連していることが弊社独自調査で明らかとなっている。
 そこで、用紙選択操作を不要とするための坪量センサーおよび封筒検知センサーを開発した。検知結果をMFPの印刷条件選択に自動的に当てはめることで、操作時間を削減し、用紙不適合によるJAMや画質不良を改善する。

1-2-2. 選定技術一覧

 坪量は紙特性を表す重要な項目であり、坪量センサーはOP/PPで共通して使用する。OPの封筒検知は、超音波方式の重送検知技術を流用した。今回、コニカミノルタのコアである光学技術を用いて開発した坪量センサーおよび坪量換算、紙種判別アルゴリズムについて紹介する。

2 実験

2-1-1. 坪量検知

 用紙の坪量を測定するセンサーを開発するにあたり、用紙にダメージを与えないためには非接触で行う必要がある。非接触の測定方法としては、超音波や光の透過を用いるものが考えられるが、各方式の特性を比較した結果、超音波は湿度や温度などの影響を大きく受けることが判明した。そのため、安定して測定可能な光の透過率を用いる測定方法を採用した。

2-1-1-1. 光学坪量検知
 今回、光の透過率で坪量を測定するために適した波長が存在することが分かった。Fig. 1は、主要な用紙約1000種における各波長の透過率と坪量の相関関係を確認した結果である。可視光の範囲では、製紙メーカーや銘柄が異なる場合、用紙の色味を合わせるために含まれる成分により透過特性が変化し、相関が低下する。また、用紙種によって透過率と坪量の相関関係が変化するという課題を、波長の異なる青色Bと近赤外IRの透過率の特性差異を利用することで解決を試みた。

写真

Figure 1. Correlation between transmittance and basis weight at each wavelength.1)

2-1-2. 坪量換算

初代メディアセンサ―
 紙種によって透過率と坪量の傾向が異なるため、紙種ごとに最適な坪量換算式を選択する必要がある。Fig. 2に紙種特性を示す。コート紙は、表面に塗布された成分の影響で青色の透過率が低くなる傾向があり、近赤外と青色の波長の透過率の差によって分類できる。さらに、再生紙は古紙の成分が含まれていることで用紙の表面からの反射光Gが低くなる特性から分類できる。この特性を利用し、以下の流れで最適な坪量換算式を選択し、坪量を算出する。

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Figure 2. Classification of measured values of basis weights by paper type based on combinations of transmittance and reflectance of multiple wavelengths.1,2)

 まずOPでは、
Step1 反射率Gから再生紙を判別する。
Step2 坪量差分IR-Bからコート紙と普通紙(非コート紙)を判別し、坪量換算式を選択する。

次世代メディアセンサ―
 紙種によって透過率と坪量の傾向が異なるため、紙種ごとに最適な坪量換算式を選択する必要がある。紙特性に依存する波長の透過光や反射光により、光学特性判定の組み合わせから紙種を判別した。その紙種判別後に紙種ごとの坪量を計算するアルゴリズムを導入した(Table 1)。これによって、紙種ごとの坪量が検知できるようになる(Fig. 3)。透過光と反射光の検出は、複数のLEDを採用し、各々の用紙を挟んで配置し、PD(Photodiode)により行われる。さらに、用紙位置変化による検知ばらつきを最小限にするようLEDとPDを配置することで、通紙しながらの安定した用紙検知が可能となる。加えて、制御アルゴリズムの改善により、センサーの紙粉汚れに対するロバスト性が向上し、センサーの信頼性も高まる。

Table 1.  Example of a definition table for basis weight conversion formulas based on multiple optical property judgment results.3)

写真
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Figure 3. Example of basis weight definition from a conversion formula selected by the improved paper type identification algorithm.3)

2-1-3. 坪量センサー構成

 Fig. 4に初代メディアセンサ―の坪量センサーの構成を示す。3種類のLEDを配置した。透過率は、用紙を挟んで反対側に配置したPD(Photodiode)でIRとBの透過光を検出し算出する。反射率は、用紙表面の反射光Gを測定する。次世代メディアセンサ―では、6種類のLED(Light Emitting Diode)を配置した。透過率は、用紙を挟んで反対側に配置したPD(Photodiode)でIRとBの透過光を検出し算出する。反射率は、用紙表面の反射光IR、UV、V、Rを測定する。

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Figure 4. Basis weight sensing configuration of the first-generation media sensor system.1, 2)

2-1-4. 超音波センサー構成

 Fig. 5は、印刷頻度の高い封筒に対して最適な印刷設定を行うため、装置が自動的に封筒を検知する仕組みを示す。封筒は、超音波が音響特性インピーダンスの異なる媒質境界面を介すると減衰する特性を利用して検知する。これにより、封筒の空気層を介した超音波信号の強度によって封筒用紙を判別できる(業界初)。封筒に適応した印刷が可能となることで、頻度の高い封筒印刷によるマシンダウンタイムを軽減し、業務生産性を向上させる。

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Figure 5.  Diagram of ultrasonic sensor configuration for envelope identification.3)

2-1-5. 回路構成

初代メディアセンサー
 Fig. 6は光学坪量検知の回路構成を示す。発光回路は、各LEDでLED光路に用紙がない時の受光出力が一定になるようにPWM-Dutyを調整している。受光回路は、紙の有無に応じて増幅回路(AMP)のゲインを切り換えることで、LED光路に用紙がある場合でも受光光量が低下しても所定の電圧まで増幅し、坪量演算部に入力する。この仕組みにより、用紙の透過率および反射率を正確に測定し、坪量演算の精度を向上させる機能を有する。

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Figure 6. Detection circuit diagram implementing LED light intensity adjustment and light reception signal amplification switching.1)

次世代メディアセンサー
 Fig. 7およびFig. 8は、坪量センサーと超音波センサーのハード構成と制御概要を示す。まず、坪量センサーは、制御演算用CPUから通信でDA変換素子にアナログ値を指示し、ゲインを設定したうえで定電流回路によりLEDを同期信号で切り替えて点灯させる。そのLEDの光量に応じてPD(フォトダイオード)の出力値を読み取る。一方、超音波センサーは、制御演算用CPUから同期生成回路を経由して超音波駆動回路で超音波を送信し、受信した超音波信号を増幅回路で増幅して受信値を読み取る。

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Figure 7. Optical sensing circuit diagram for basis weight determination applied to the next-generation media sensing system.3)

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Figure 8. Ultrasonic sensing circuit diagram for envelope identification applied to the next-generation media sensing system.3)

2-2. 搭載形態
2-2-1. オフィス印刷

 Fig. 9にセンサーの搭載要件図を示す。搭載要件は次の2項である。
1)すべての給紙口(1、2、3、4、手差し)から給紙された用紙を判別すること。
2)印刷の生産性を低下させないよう、用紙搬送状態でセンサーデータを取得すること。
 しかし、搬送経路が広く用紙がばたつき、給紙口によってセンサー通過時の用紙角度が異なる課題が発生した。そのため、坪量センサー部にコロを設けて通紙経路を絞り、搬送中の用紙経路と姿勢を安定させた。また、センサー通過時の角度差を小さくするため、坪量センサー位置をコロの中心より上側に配置し、検知位置での角度ばらつきを低減させ、用紙判別の精度を向上させた。

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Figure 9. Placement of Basis weight sensing/ Envelope sensing / Rollers and transport guides in the paper transport path.1)

 Fig. 10に給紙カセットの用紙設定画面を示す。給紙カセットごとに用紙種類の自動検出がデフォルトで有効となっており、意図的に印刷条件を選択する作業を不要とすることで設定ミスを防止するマン・マシンインターフェイスとした。用紙種を把握していないお客様の場合でも、用紙種自動検出時の情報が用紙設定画面に反映されるため、不明な用紙の調査時間も不要となる。なお、手動設定を使用する場合、メディア検知設定が自動的にOFFになり、戻し忘れが発生することがある。これを防ぐため、給紙トレイ開閉時や一定時間操作がない場合に自動でメディア検知設定をONに戻す機能を搭載した。これにより、紙種設定ミスによる紙詰まりや画像品質低下を防止できる。

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Figure 10. Automatic media detection is enabled by default on the control panel. After detection, the detected paper is automatically displayed.1)

 Fig. 11に用紙継ぎ足しによる対応の図を示す。実際にユーザーがよく行う給紙トレイへの異種紙の継ぎ足しを想定している。通常は手差しトレイに用紙セット後の1枚目、給紙トレイ開閉後の1枚目の用紙をメディア検知して用紙設定するが、さらにその後、連続給紙される各用紙もメディアセンサーでデータを取得することで、給紙トレイ内の継ぎ足し時の用紙変化を察知し、自動的に用紙設定を切り替える。1ジョブ目は通常通り1枚目の用紙をメディア検知して普通紙を検出する。次に2ジョブ目で用紙の変化を察知し、さらに次のジョブでメディア検知を実行して厚紙を検出し、以降は厚紙モードで印刷を継続する。

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Figure 11. By scanning all subsequent sheets of paper,it detects changes in the paper type when refilling the tray and automatically switches the paper type.

3 結果と考察

3-1. 市場データ分析

 Fig. 12は、メディアセンサー機能がONの場合とOFFの場合に発生する、ユーザーの用紙選択ミス設定による紙詰まり比率(市場のJAM率に係数をかけた値)の差を分析した結果である。調査条件は初代メディアセンサーであり、2022年度1年間の統計データから、メディア検知時は用紙選択ミス設定時と比較して、紙詰まりが半分程度少なくなり、ユーザーのダウンタイム軽減に貢献していることが分かる。次世代メディアセンサーでは検出可能紙種を拡大したことで、より高い紙詰まり低減効果が期待できる。

写真

Figure 12. Comparison of the incidence of paper jams caused by incorrect paper type settings between models with equivalent specifications but equipped with a media sensor and conventional models without one (analysis results for the JP region in 2022).3)

4 結言

 今回の製品開発により、お客様の操作性が改善され、操作時間の削減とともに、用紙設定に関連する不具合の低減が期待される。OPではお客様による用紙設定が不要となり、操作時間が従来に対して十数秒削減されるとともに、多種多様な紙の特性判断が可能となった。本稿で紹介した内容は、以下の製品に搭載される予定である。
・OPインラインタイプ
 初代メディアセンサー搭載機
 bizhub C750i / C650i / C550i / C450i
 インテリジェントメディアセンサー IM-102
 (bizhub C360i / C300i / C250i用 オプション)
・次世代メディアセンサー搭載機
 bizhub C751i / C651i / C551i / C451i
 インテリジェントメディアセンサー IM-103
 (bizhub C361i / C301i / C251i用 オプション)

 今後は、市場で上記製品から収集される紙種検知結果と製品の内部情報を関連付けて解析することで、操作性改善の効果を検証し、さらなる顧客のワークフロー改善提案につなげる。また、センシング技術の高度化や推定アルゴリズムの改版により、対応紙種のさらなる拡大を目指す。

●参考文献

1)Yoshimura, K.; et al. Development of Intelligent Media Sensor. KONICA MINOLTA Technol. Rep. 2020, 17, 34-40.
2)Konica Minolta, Inc.. Printing paper automatic determination technology. https://research.konicaminolta.com/en/technology/tech_details/printsetting/ (accessed Oct. 8, 2025)
3)Tsujimoto, T. Automating operations and improving productivity with paper type detection technology using an intelligent media sensor. Proceedings of the 2nd ISJ Technical Seminar in 2024 (160th in total), 2025, 37-51.
4)Tsujimoto, T. Next-generation Intelligent Media Sensor System: Automating Operations and Enhancing Productivity through Paper Type Identification. Proc. IS&T APT2025: Advances in Printing Technology (IS&T, Springfield, 2025), 2025, 43-47.

“The copyright of Advances in Printing Technology 2025 Final Program and Proceedings belongs to The Society for Imaging Science and Technology.”

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