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テクノロジー解説室

独自の技術で進化を続けるコニカミノルタが、自社の技術や事業領域に関連するトピックを解説します。

センシング技術とは?活用事例や導入のメリット、課題を解説

センシング技術とは?活用事例や導入のメリット、課題を解説

AI技術の発展に伴い、あらゆる業種でデータの活用が注目されています。その中でも、データの取得段階を担う「センシング技術」の重要性が高まっています。センシング技術によって、温度・湿度・画像・音などをセンサーで認識、分析して数値化することで、これまで見えなかった情報が可視化できるようになってきました。

では、センシング技術はどのような分野で活用されているのでしょうか。

本記事では、センシング技術の基本的な仕組みや代表的なセンサーの種類、活用事例のほか、導入のメリット、課題などを解説します。

センシング技術とは、物質や環境などの情報を検出して数値化する技術のこと

センシング技術とは、センサーを用いて物質や環境などの情報を検出し、それを数値として取得・可視化する技術のことです。これにより、温度や湿度、振動、光、音、画像、成分といった人間の感覚では正確に測定・記録できない情報を、客観的かつ定量的に扱えるようになります。

また、さまざまな分野で活用が進んでいるIoT(モノのインターネット)にも、センサーを活用して情報を収集する仕組みは不可欠です。センシング技術があることで、遠隔監視、異常検知、自動制御などが可能になり、業務の効率化と高度化が進められるようになります。

センシング技術は、大きく下記の2つに分類されます。

■センシング技術の種類

名称内容
スマートセンシングセンサーが対象の近くでデータの取得を行う方法。温度センサーや振動センサー、光電センサーなどで活用される技術。リアルタイム性が高く、工場などで活用される
リモートセンシング対象とは離れた場所から、光や電波、音波などを使ってセンサーがデータを取得する方法。気象観測、衛星画像による農作物の生育把握、防災分野などで利用される

 

センシング技術で用いられるセンサーの種類

センシング技術では、測定対象や目的に応じてさまざまなセンサーが使用されます。代表的なセンサーの種類とその内容は、以下のとおりです。

■主なセンサーの種類

センサーの種類主な用途・検知対象
温度センサー温度の変化を検知。製造現場や気象観測、医療機器などに利用される
湿度センサー空気中の湿度を測定。農業、空調管理、倉庫環境の管理などに活用される
圧力センサー液体や気体の圧力を測定。車両のエンジン制御、医療分野などで使用される
流量センサー液体や気体の流れる量を測定。工場の配管や水道設備などで用いられる
水位センサー液体の高さを測定。ダムやタンク、水槽などの水位管理に利用される
画像センサーカメラで取得した画像をデジタルデータとして処理。品質検査やロボットの目として利用される
加速度センサー対象物の速度の時間変化である加速度(動き)を検出。スマートフォンやゲーム機、車両制御などに活用される
振動センサー機械や構造物の振動を感知。異常検知やメンテナンスが必要な箇所の発見に役立つ
光電センサー光の反射や遮断を検知。製造ラインの部品検出などに利用される
光学センサー光の波長や反射特性を測定。色や素材の判別といった高度な検知に使用される
電流・電力センサー電気の使用状況を監視。エネルギー管理や節電対策に利用される
味覚センサー味に関する成分の電気的応答を数値化。食品業界での品質評価や新商品開発に利用される

 

センシング技術の活用事例

センシング技術は、さまざまな業界・業種での課題解決や業務効率化に役立っています。下記では、製造業の製造工程、農業、医療、ロボット、自動車、エネルギーといった代表的な分野での活用事例を紹介します。

製造業の製造工程

製造業では、センシング技術を活用して、機械の監視、品質管理、作業工程の最適化などが進められています。

機械の状態をセンサーで常に監視することで、製造機械の故障の検知やコスト削減が可能です。また、製造機械だけではなく、製造された製品にセンサーを搭載してサービスに役立てているケースもあります。

ほかにも、食品や医薬品の製造現場で光学センサーを使って異物検査を自動化したケースや、機械の稼働時間などをセンサーで把握してボトルネックとなっている工程を特定し、生産性を向上させた事例もあります。

検査分野で活用されているコニカミノルタの技術については、下記の記事をご覧ください。
技術紹介:ハイパースペクトルイメージング技術(HSI)
技術紹介:外観検査技術

農業

農業分野でも、時間や労力を削減するためにセンシング技術の活用が進んでいます。例えば、温度・湿度・照度・土壌水分量などのデータをセンサーによってリアルタイムで取得し、自宅などの農地から離れた場所で農地の状況を把握して、時間と労力を削減できるシステムが導入されています。

また、農業用ドローンや、農作業時に装着して負担を軽減するアシストスーツなどの機器にもセンシング技術が組み込まれ、作業負担の軽減や効率化が図られています。

医療分野

医療の現場では、センシング技術によって患者の体調を常時モニタリングすることが可能になっています。体温、心拍、血流、呼吸数といったバイタルサインをセンサーで検知し、在宅医療や遠隔診療などに活用しています。パルスオキシメータ(血中酸素飽和度と脈拍数の測定機器)はそのひとつであり、コロナ禍をきっかけに一般家庭でも広く使われるようになりました。

これにより、医師が現場にいなくても異常を早期に察知でき、迅速な対応ができるようになりました。高齢化が進む社会において、医療の効率化と負担軽減を同時に実現できる重要な技術です。

ロボットなどの製造機械

ロボットなどの一部の製造機械では周囲の状況を把握するためにさまざまなセンサーが活用されていて、障害物を回避するための距離センサーや、接触を感知する圧力センサーなどはその代表例です。また、ロボットの細かな動きを制御するためにもセンシング技術は重要な役割を果たしており、振動の制御や姿勢の補正のために振動センサー、加速度センサーなどが活用されています。

ロボットのほかにも、センシング技術が活用されている機械は少なくありません。例えば、コニカミノルタの複合機では、複合機の内部に機器の状態を把握するための複数のセンサーが搭載されています。複合機から数百種類にも及ぶデータを日々収集、分析して使用状況を把握することで、複合機にトラブルが発生した場合の作業の円滑化に役立てています。

コニカミノルタの複合機に搭載されている技術については、下記の記事をご覧ください。
技術紹介:リモートメンテナンスを実現するセンシング技術とデータアナリティクス

自動車産業

自動車産業も、さまざまなセンシング技術が活用されている分野の代表例です。前方や後方を認識するカメラセンサー、障害物との距離を測定するレーダー、車線の逸脱を感知する光学センサーなど、複数のセンサーを組み合わせて、自動ブレーキなどの安全運転支援システムが成り立ちます。

今後も、自動運転の実現に向けて、より高精度かつリアルタイムなセンシング技術の進化がカギとなっています。

エネルギー分野

エネルギー分野では、電力やガス、水道などのインフラ管理においてセンシング技術が重要な役割を果たしています。使用者ごとの電力・水道・ガス使用量の計測、電気やガスを安全に使用するための制御システムを支えているのは、計測器に用いられているセンシング技術です。

また、電力消費量や温度、湿度、人の在室情報などをセンサーで把握し、空調や照明を最適化することで、エアコンなどの電力消費を効率化するシステムもあります。

センシング技術の導入メリット

センシング技術を業務のプロセスなどに導入することで、高い精度の業務が可能になったり、業務を効率化できるようになったりする可能性があります。下記では、センシング技術の導入によって得られる主なメリットを、4つの視点から解説します。

高精度な情報収集

センシング技術のメリットのひとつは、人間の感覚では把握しきれない情報を高精度で取得できる点です。例えば、微小な温度差やわずかな色の違い、目に見えない異物の混入などを、センサーによって数値化・定量化できるようになります。

センシング技術によって、製品や設備の状態を客観的かつリアルタイムに把握できるようになれば、品質の安定や異常の早期発見につながります。また、収集された高精度なデータは履歴として蓄積されるため、過去との比較やトレンド分析も容易です。結果として、より信頼性の高い意思決定を行えるようになります。

業務プロセスの最適化

センシング技術によって業務プロセスを最適化できる点も、メリットといえます。センシング技術を活用することで、業務を「見える化」してプロセス全体の最適化を図るのです。

例えば、製造ラインを最適化したい場合は、各工程の稼働状況や生産速度、人の動きなどをセンサーで常時モニタリングすることで、どこに無駄が発生しているのかを可視化していきます。こうしたデータにもとづいてボトルネックを特定し、作業の配分や機械の配置を見直せば、生産性の向上やリードタイムの短縮も可能です。

また、物流や倉庫管理においても、センサーによって荷物の動きや保管状況をリアルタイムで監視できれば、荷物の滞留の把握・改善が可能になり、配送ルートの最適化や効率的な在庫管理をできるようになります。人の経験に頼った属人的な判断から脱却し、データにもとづく論理的な業務改善が可能になるのは、センシング技術ならではの強みです。

効率的なデータ収集と分析によるコスト削減

センシング技術を導入すれば、企業のさまざまな活動における無駄を定量的に把握できるようになり、コスト削減が可能になるというメリットもあります。

例えば、工場やオフィスビルに設置された電力・水道・ガスの使用量センサーから得られるデータを集約・分析することで、エネルギーコストの最適化が可能です。複数拠点を持つ企業であれば、拠点ごとの使用量やパフォーマンスを比較し、改善点を抽出することも容易になります。

また、センシング技術を活用すれば、これまで人力で行っていた作業報告などの一部を自動化できるため、人件費の削減や作業時間の短縮にもつながります。

ほかにも、AIと組み合わせた分析によって、将来のトラブルの予測やリスクの回避が可能になり、より高度なコスト削減ができるようになるかもしれません。センシング技術をさまざまな施策に活用し、企業全体のコスト構造を見直すことが可能です。

設備管理レベルの向上

センシング技術のメリットのひとつは、設備管理のレベルを向上できる点です。

センサーを活用しない設備管理では、人が巡回点検を行って目視で異常などを確認して、報告することになります。しかしこの方法では、点検担当者の経験や勘による主観的な判断に頼る部分が大きく、また、記録ミスによるトラブルが課題となっていました。

そこで、センシング技術を活用して、設備の状態をモニタリングすれば、数値化されたデータとして正確に把握・記録することが可能になります。その結果、主観的な判断を脱し、どのような担当者でも適切な設備管理ができるようになります。

例えば、温度・振動・圧力といったパラメーターをリアルタイムで監視し、異常値が発生した際にはアラートを自動的に発信する仕組みを構築すれば、設備の異常を迅速に検知して重大な故障を未然に防ぐことが可能です。

また、履歴データを蓄積・分析することで、「特定の設備にどのようなトラブルが多いのか」「どの部品の交換時期が近いのか」といった予測保全が可能となり、計画的なメンテナンスが実施できます。結果として、設備の稼働率向上や延命といった効果も期待できます。

センシング技術を導入する際の課題

センシング技術はさまざまなメリットをもたらす一方で、導入にあたっては事前に検討すべき課題も存在します。下記では、多くの現場で直面しやすい2つの課題を紹介します。

データの確保

センシング技術を導入するためには、適切なデータを安定して取得できる環境を整備しなければなりません。しかし、現実には「古い設備が現役で稼働している」「既存の機械にセンサーを後付けする前提で設計されていない」といった理由から、データの取得そのものが難しいケースも見られます。

例えば、長年稼働している製造業の現場では、IoT化が想定されていない旧式の設備が多い場合があり、センサーを後から設置するためには大掛かりなカスタマイズが必要となるケースもあります。また、センサーで取得したデータを送信・蓄積するためには、ネットワーク環境の構築やデータを管理する基盤の整備、セキュリティ対策なども必要です。

こうした導入初期の整備には、コストや労力がかかるため、費用対効果のシミュレーションや段階的な導入計画の策定が求められます。

データ活用ができる人材の確保

センシング技術によって高精度なデータが収集できるようになったとしても、それを「どう使うか」が課題になるケースもあります。実際、「データはあるが、活用できていない」という課題に直面する企業も少なくありません。

収集したデータから課題を抽出し、改善案を立案・実行するためには、統計学にもとづいた分析手法などの知識を持つデータサイエンティストやアナリストの存在が不可欠です。また、自社の業務構造やKPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)を理解した上で、どのようなデータが必要なのかが判断できる、ビジネス視点を持った人材も重要です。

しかし、このような人材は市場でも慢性的に不足しており、採用や育成が大きなハードルとなっています。そこで、外部の専門家との連携やコンサルティングサービスの活用といった手段を取り入れる企業も増えています。

自社に必要なデータ活用スキルのレベルや範囲を明確にした上で、どこまでを内製化し、どこから外部に委託するかを適切に判断することが、センシング技術の導入とデータ活用を成功させるためのカギとなります。

センシング技術の今後の展望

センシング技術は、単にデータを集めるだけでなく、AIと組み合わせることでその価値を高めることが期待されています。AI技術が発達してきた昨今では、センサーで取得したデータをAIが解析し、即座に判断・制御を行う仕組みなどがさまざまな分野で実現されつつあります。

例えば、製造業においては、AIが過去の稼働データを学習し、機械の故障の防止に役立てるシステムが開発中です。この方法では、AIが機械の通常動作パターンを把握し、そのパターンから外れる異常値が検出された際に故障の兆候としてアラートを発信し、トラブルを未然に防ぐ予知保全の仕組みが構築されつつあります。

また、AIの進化により、「データの中に何があるか分からない状態」でも、膨大な情報から有益なパターンや兆候を抽出することが可能になりました。従来であれば見逃していた微細な変化も、AIがセンサーのデータを解析することで可視化され、新たな気づきや課題発見につながるケースもあります。

このように、センシング技術とAIの融合は、今後の産業のあり方を大きく変えていく可能性を秘めています。

■AIとセンシング技術の連携のイメージ

AIとセンシング技術の連携のイメージ

センシング技術を導入して、企業のさまざまな課題を解決しよう

センシング技術は、製造業、農業、医療などさまざまな業種で活用可能で、業務の効率化や品質改善、コスト削減を実現できる技術です。センシング技術を導入することで、リアルタイムな情報把握が可能になり、意思決定の精度の向上が見込めます。さらに、AIとの連携によってその可能性はさらに広がり、複雑な課題の可視化・解決が可能になってきました。

コニカミノルタでは、光源や色を計測する「測光・測色技術」といったセンシング技術を提供しています。また、AIとセンシングを組み合わせた技術も開発しており、画像を用いた高度な解析を可能にするFORXAIや、従来の味覚センサーよりも多角的な分析により官能評価の代替となりうる独自のセンシングソリューション「FLAIRS」を開発しています。これらの技術は、従来の技術だけでは難しかった課題の解決を、独自のセンシング技術とAIの融合によって実現します。

自社の業務において「見えない情報を可視化したい」「属人的な判断をなくしたい」「もっと効率的な運用をしたい」といったご要望がある場合、コニカミノルタが持つセンシング技術・分析技術が課題解決に寄与できる可能性があります。具体的な検討段階でなくても構いません。まずはお気軽にご相談ください。

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