印刷用紙の自動判別技術
センサーとAIを活用し、メディアに最適な印刷条件を自動で設定
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多種多様な用紙に対する最適な印刷設定を自動化
紙は印刷の”質感”や”表現力”を左右する重要なファクターであるため、印刷用途(書籍/カタログ/フォトブック等)に応じて多種多様な紙が使われています。コニカミノルタは様々な紙種毎に最適な印刷条件を提供することで、高品位に印刷できる紙種を広げ、デジタル印刷の可能性を拡大してきました。一方、”紙種の設定”や”紙種に応じた最適な印刷条件の選択”には、紙の知識と高いスキルが必要でした。コニカミノルタは独自の技術で紙種の設定と最適な印刷条件の選択を自動化することで、誰でも簡単に多種多様な紙を使い魅力的な印刷物を製作できるようにしました。さらに、自動化によって印刷前準備の手間を省くことができ、紙交換の多い少量多品種の生産時間を短縮し印刷機の稼働率を向上させます。
技術概要
電子写真方式では”トナーを用紙に転写する”、”用紙上のトナーを定着する”といった画像形成プロセスの仕上りが用紙特性に大きく左右されます。また、紙を高精度にハンドリングする紙捌きや紙送り性能も紙特性に左右されます。そこで、紙特性を代表する坪量(単位面積あたりの重さ)と紙種別(コーティング有無や表面粗さ)で紙を細やかに区分して個々に印刷条件を最適化しています。この紙種設定を自動化するために、紙物性(坪量、表面性、厚み)を読み取るセンシング技術とセンシングデータから紙種を判別するアルゴリズムを開発して、インテリジェントメディアセンサーとしてプロフェッショナルプリント製品に搭載しています。
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(上)インラインタイプ (下)オフラインタイプ
紙物性センシング技術
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複数波長の組合せによる坪量計測値の紙種別分類
坪量と紙種を判別するため1000銘柄を超える紙物性データを分析して、寄与率の高い坪量・表面性・厚さの紙物性を選定し、コニカミノルタ独自のセンサを開発しました。坪量は紙の光透過率を用いた非接触の光学方式で検出します。紙の含有成分による色差で光透過量が変わるため複数光源×複数波長の組合せにより含有成分の影響を除去し、多種多様な紙を検出可能にしています。表面性は紙表面の滑らかさや光沢の違いを光学反射特性を用いて検出します。正反射/拡散反射の2つの反射特性を組合せることでコーティングの有無からコーティング種類の違いまで分類を可能にしています。また、紙厚みを計測するためにロータリーエンコーダー方式のセンサを開発しました。ローラ偏芯をキャンセルするアルゴリズムにより5μmの違いを検出可能です。
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(上)坪量センサ― (下)表面性センサー
用紙種の自動判別技術
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判別アルゴリズムのブロック構成
コニカミノルタでは坪量と下記の紙種別の組合せで紙を分類しています
●普通紙(非コートで表面の粗いもの)
●上質紙(非コートで表面性の良いもの)
●マット紙(コート紙で表面にツヤがないもの)
●グロス紙(コート紙で表面にツヤがあるもの)
紙種を判別するために機械学習を用いて判別アルゴリズムを開発しました。紙物性センサの計測値を因子として紙種を判別します。学習データにはコニカミノルタが蓄積してきた紙物性データを用いており、表裏の違いや目方向の違いなど紙ならではの誤差要因を考慮した学習を行っています。